市民支援型寄付講座によるがんペプチドワクチン臨床研究の成果

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和歌山県立医科大学外科学第2講座
勝田将裕、宮澤基樹

“日本初”の市民支援による寄付講座が2013年9月に和歌山県立医科大学に創設され、食道がんおよび膵臓がんに対するがんペプチドワクチンの臨床研究が開始されました。しかし、市民からの寄付予定額(3,000万円)が1,500万円に留まり、残念ながら2015年7月「市民支援型寄付講座」は休止となりました。ただ、臨床研究は和歌山医科大学外科学第2講座の研究として継続され、2017年9月に終了しました。残念ながら食道がんおよび膵臓がんに対して、がんペプチドワクチンの効果は証明されませんでしたが、次の一歩につながる成果を得ることができましたので、臨床研究を担当された勝田先生(胃がん)と宮澤先生(膵臓がん)に、寄付講座の総括をしていただきました。

はじめに

がんペプチドワクチン治療学講座は、“日本初”の市民支援による寄付講座として2013年9月に和歌山県立医科大学に創設され、食道がんおよび膵臓がんに対する新規がんペプチドワクチンの研究を開始しました。しかし、市民からの寄付が予定額に達せず(3,000万円の半額の1,500万円に留まる)、残念ながら2015年7月「市民支援型寄付講座」は休止となりました。

講座休止までの1年半で研究を完遂することはできませんでしたが、その後も臨床研究は継続され、研究成果を得ることができました。また、本講座の理念は現在も継続し、がんワクチン創薬に向けた基礎研究および新規臨床研究も開始されています。

これまでのところ、がんワクチン治療の確立には至っていないものの、がんワクチン研究の発展においてがんペプチドワクチン治療学講座は大きな役割を果たしたことは間違いありません。ここでは、これまでのがんペプチドワクチン治療学講座における成果を報告するとともに、がんワクチン治療開発の現状と今後の展望を明らかにします。

寄付講座によるがんペプチドワクチン治療学講座の開設

寄付講座を担当された山上先生、宮澤先生、勝田先生(左から)

和歌山県立医科大学では新たながんワクチン療法(後送※参照)として、がんペプチドワクチン療法の開発を行ってきました。これらの研究開発をさらに発展させるべく、“日本初”の市民支援による寄付講座として「がんペプチドワクチン治療学講座」が開設されました。がんが進行し現在の標準療法では治療法がない、と宣告された多くの患者さん達にとって、新規治療法の開発が望まれていました。

しかし、新薬の開発には規制も多く、また、これまでわが国で展開されてきたがんペプチドワクチン臨床試験の枠組みでは、ヒト白血球型抗原(HLA)の型の不一致や試験の適格基準を満たさないなどの理由で治療を提供できない患者さんが多数でした。こうした背景の中で、がんペプチドワクチン治療薬の開発研究を迅速に進めることが、国際的な見地からも患者さんが待望する治療法の早期実現の見地からも必須の課題です。また、多様な患者さんにより幅広く治療を提供できるように裾野を広げる研究の展開が求められます。

そこで、和歌山県立医科大学外科学第2講座はがんペプチドワクチン療法の研究開発をさらに加速発展させるための基礎研究/臨床研究を展開する、“全国初”のがん患者団体寄付による「がんペプチドワクチン治療学講座」を開講しました。当講座では多施設におけるがんペプチドワクチンに関する臨床試験を展開し、その研究成果を国内外に発信することで全国のがん治療の質を向上させるとともに、新規がん治療法を開発することで患者さんの治療選択肢を増やすこと、さらに、がんペプチドワクチン治療に取り組むことによって、標準療法では対応できないがん患者さんに希望の火を灯していくこと、加えて、がんワクチン開発のすそ野を広げる若手研究者の育成と基礎研究の充実を目的としました。

2013年9月の寄付講座開設と同時に、上記目的を達成するため、3つの臨床研究が施行されました。一つは食道がんを対象に多施設共同研究として施行した「標準療法不応または不耐の進行・再発食道がんに対する新規腫瘍抗原URLC10およびKIF20Aと腫瘍新生血管関連遺伝子VEGFR-1およびVEGFR-2由来ペプチドを用いた新規ペプチドワクチン療法」です。さらに、膵がんに対して多施設共同で施行した「初期治療としてGemcitabineで治療する膵臓がん患者に6種類のmulti-peptides cocktailを併用する第Ⅰ/Ⅱ相臨床試験」。そして、膵がんに対して単施設で施行した「S-1の隔日投与療法を併用するペプチドワクチン療法の第Ⅰ/Ⅱ相臨床試験」です。

また、がんペプチドワクチン研究を行う研究者の育成のため、寄付口座開設後に和歌山県立医科大学の医師、看護師らによるがんペプチドワクチン研究チームが結成されました。研究チームでは、毎月チーム勉強会を開催しがん免疫療法に関する知識の蓄積のみならず、臨床研究の進め方についての基礎的な考え方や実践方法についての議論を重ね、若手医師研究者や看護師研究者の育成を行ってきました。

この中で、がんペプチドワクチンに関する付随研究として看護師研究者が主導する「がんペプチドワクチン治療患者と化学療法施行患者の経時的なQOL変化の比較検討」が施行されました。また、これらの研究を通じて日々のがん治療患者さんに対する診療および看護を進める中で、がん治療患者さんの想いを率直に表現できるツールの開発が立案され、看護師研究者を中心に患者さんの気持ちを表すSNSツールが開発されました。

さらに、若手医師研究者による、より効果の強いがんペプチドワクチンの開発に関するマウス基礎研究として、「患者生体内でペプチドワクチンが樹状細胞に選択的に送達される新規治療法の開発研究」が施行された。がんペプチドワクチン研究チームは現在も活動を継続しています。加えて、がんペプチドワクチン治療学講座開設前後に複数の医師主導治験が開始され、一部はがんペプチドワクチン開発に関する非常に有望な成果を得ることができました。

がんペプチドワクチン治療学講座による臨床研究の狙い

●より高い臨床効果を目指す
がんワクチンの臨床効果を得るには、目印となる適切な抗原の選択が極めて重要となります。効果的で安全なCTLを誘導する理想的な抗原の条件として、副作用を避けるためのがんに対する特異的な発現、免疫寛容からの逃避を避けるための発がん特性、および高い免疫原性が必要となります。近年のゲノムベースの技術開発により、正常細胞と比較した悪性細胞の包括的遺伝子発現プロファイルが得られるようになりました。これにより、がん特異的発現だけでなく腫瘍増殖に重要な役割を果たす発がん機能も有する分子を標的抗原とするワクチンの開発が進められています。

本研究における食道がんワクチンの開発においては、このようにして同定された新規がん抗原kinesin family member20A(KIF20A)およびlymphocyte antigen6 complex locusK (LY6K)由来のエピトープペプチドが選択されました。また、腫瘍そのものを標的とするがんワクチン療法には、臨床効果を制限する潜在的な問題も指摘されています。一つはがん組織における腫瘍抗原の消失であり、もう一つはがん組織におけるHLAクラスI欠損です。

他方、腫瘍周囲の血管新生は、血管内皮増殖因子受容体であるVEGFR1およびVEGFR2の発現に関連しますが、この VEGFR1およびVEGFR2は腫瘍血管内皮細胞において強く発現し腫瘍の成長および進行において重要な役割を果たすとともに、HLA分子を安定に発現することが示されています。
したがって、本研究では腫瘍新生血管を標的としたVEGFR1およびVEGFR2に由来するエピトープペプチドも選択されました。すなわち、本研究の狙いは食道がん細胞の増殖に関連する2つの標的抗原(KIF20A、LY6K)に対するCTLを誘導するとともに、食道がん細胞を栄養する腫瘍新生血管関連抗原(VEGFR1、VEGFR2)に対するCTLも誘導するべく、これらの抗原に対するカクテルペプチドを投与し、がんの増殖を2方向性に抑制することでより高い臨床効果を得ることです。

一方、膵臓がんに対しては、腫瘍新生血管を標的としたVEGFR1およびVEGFR2に由来するエピトープペプチドに加えて、膵臓がん細胞の増殖に関連する4つの標的抗原(FOXM1、DEPDC1、KIF20A、URLC10)に対するCTLを誘導するエピトープペプチドを加えた合計6つのmulti-peptides cocktailを選択しました。

●より多くの患者さんの参加を目指す
ペプチドワクチンは、HLA classⅠ-ペプチド複合体によりCTLを活性化するというメカニズムから、患者さんのHLAtypeにより投与するペプチドワクチンが拘束されるという問題があります。本邦におけるこれまでのペプチドワクチンの治験開発は、主に日本人の60%を占めるHLA*A24陽性の患者さんを対象に行われており、HLA*A24陰性の患者に対する開発は全く進んでいませんでした。

しかし、我々の講座の理念はより多くの患者さんに希望の灯をともすとともに、ワクチン開発の研究のすそ野を広げていくことであります。そこで本研究では、HLA*A24陽性患者さんに加え、HLA*A02陽性患者さんも対象とする研究デザインとしました。なお、HLAのAルーカスにおいてそれぞれ二つのアレルが存在するが、日本人におけるHLA*Aのタイプとしては、HLA*A24陽性かつHLA*A 02陰性が約40%、HLA*A24陰性かつHLA*A02陽性が約20%、HLA*A HL24陽性かつHLA*A02陽性が約20%、HLA*A24陰性かつHLA*A02陰性が約20%であることがわかっています。したがって、本研究においては、HLAtypeがHLA*A24陰性かつHLA*A02陰性の患者さんを除く約80%が参加できることとなりました。

がんペプチドワクチン治療学講座による臨床研究の成果

●食道がんに対するがんペプチドワクチン臨床研究
・重篤な有害事象および副作用は認めませんでした。
・これまでの進行がんに対するペプチドワクチンの臨床研究の結果と同じく、本研究によるペプチドワクチン治療単独でも進行がんの腫瘍縮小効果を得ることは難しいと考えられました。
・腫瘍縮小の奏功率は低いものの生存期間の延長が示唆される結果となり、さらに大規模な検討による本ペプチドカクテルワクチンの有用性検証試験の施行が望まれます。
・同一抗原に対する異なるHLAタイプのペプチドを同時に投与することの有用性を検討する試験はこれまでにほとんど報告がなく、本研究によりペプチドワクチン開発の今後の方向性について非常に示唆に富む結果を得ることができました。
→詳細は後送A

●膵がんに対するがんペプチドクチン臨床研究
・ペプチドワクチンの注射部位反応に関して糜爛を形成する強い皮膚反応が生じていますが、注射部位に潰瘍形成を認めた患者では生存期間の延長を認めました。
・潰瘍形成を伴うような注射部位の皮膚反応が見られた症例では生存期間の延長が示唆されました。
→詳細は後送B

付随研究の成果

●看護研究
・本研究は一部解析が現在も進行中ですが、食道がんペプチドワクチン療法患者のQOLの変化では、治療中を通じてGlobal health statusが維持されることが明らかになりました。
・症状有害事象であるSymptom scalesも治療中大きな変動なく横ばいか、経時的にゆるやかに改善されることが示唆されました。
→詳細は後送C

●LINEスタンプ作製
・がんの臨床研究を進める中で、研究チームでは患者さんの深い想いに触れる機会が多くなり、患者さんが悩みや思いをうまく伝えられるようにLINEスタンプを作成しました。
・スタンプ発売時には、県内の複数の新聞やテレビで報道されるなど注目され、作成したスタンプはスタンプショップクリエイターズで現在も購入が可能です。

LINEスタンプ 患者の気持ち2

→詳細は後送D

●基礎研究
生体内における樹状細胞への腫瘍抗原送達システムによる新規がんペプチドワクチン療法の開発
・より効率良く抗原特異的CTLが誘導できると考えました。実際我々が作製したXCL1と抗原を連結したワクチンは、 抗原特異的CTLを強力に誘導し、さらにマウスモデルにて効果的な腫瘍増殖抑制を確認できました。
・適切な腫瘍抗体を標的とするエピトープペプチドに対するXCL1との連結ワクチンを開発し臨床応用することで、画期的なペプチドワクチン療法が開発されることが期待されます。
→詳細は後送E

●厚生労働省科研費研究
がん免疫療法の有効例を抽出するための効果予測因子の同定は重要な課題です。第II相医師主導治験として実施した「膵がんに対する術後再発予防のための2方向性新規ペプチドワクチン療法の開発」におけるペプチドワクチン有効例から効果予測因子を検討しました。
・膵がん術後患者に対する治験薬の投与は安全で、ワクチンの投与により術後の再発が予防されることが示唆されました。
・膵がんの手術後は、がんペプチドワクチンが有用性を発揮できる良い対象集団であることが明らかとなりました。
→詳細は後送F

●樹状細胞ワクチン研究
標準療法不応もしくは不耐膵がんと診断された患者を対象として、対照製品群(プラセボおよびS-1併用療法群)に対する被験製品群(TLP0-001およびS-1併用療法群)の安全性および全生存期間を指標とする有効性を評価する研究に取り組んでいます。
→詳細は後送G

今後の展望

市民のためのがんペプチドワクチンの会のご寄付により開設された、がんペプチドワクチン治療学講座は、直接のご支援により施行した臨床試験の成果に加え、様々な治験の遂行や新規治験の開始、さらには基礎研究や付随研究へと大きく広がっています。現在は、「がんペプチドワクチン治療学講座」というかたちは休止している状態ですが、講座の意思は和歌山県立医科大学第2外科から院内の研究者、さらに全国の研究機関に広がり、現在の様々な研究につながっていると考えています。

なお、最新の知見に基づいた今後の展望としては、がんワクチン療法開発における標的抗原として、昨今注目されているのがネオアンチゲンです。腫瘍形成プロセスにおいてがん細胞に蓄積される遺伝的変化は、突然変異蛋白の発現をもたらします。このような突然変異蛋白のうち、がん細胞においてのみ発現し免疫系によって認識される抗原は、ネオアンチゲンとして知られています。

すなわち、各腫瘍は異なる突然変異を有し、個々の腫瘍は個別のネオアンチゲンを発現します。これまで我々が開発している腫瘍関連抗原に対するT細胞の免疫応答がT細胞の誘導における中枢性の免疫寛容により耐性を生じえるのに対して、ネオアンチゲンはがん細胞における突然変異の蓄積後に生成されるので耐性がありません。

したがって、ネオアンチゲンは腫瘍関連抗原よりも免疫原性および腫瘍特異性が高い可能性があります。Whole-exomeシークエンシングにより個々の腫瘍のネオアンチゲン同定し、個別のネオアンチゲンに由来する候補エピトープのリストをコンピュータアルゴリズムによって検索するアプローチが、現在、欧米を中心にパーソナライズされた治療用がんワクチンの作製に応用開発されています。

一方、現状のコンピュータアルゴリズムで同定された候補エピトープの中で、実際に免疫原性を有し腫瘍を攻撃する活性化CTLを誘導するエピトープを最終的に選択することは困難であると考えられています。がん治療用ワクチンは患者に迅速に送達される必要がありますが、In vitro(体内)実験により候補エピトープの免疫原性を評価するには時間がかかってしまいます。今後のペプチド免疫原性予測アルゴリズムのさらなる開発によりこの問題が克服されることに期待しています。初期の臨床試験では、各患者の突然変異に基づく個別化がんワクチンが免疫原性を有し、臨床的有用性が示唆されています。

最後に、がんに対するワクチン療法は積極的に開発されてきましたが、これまで本邦では保険承認に至っていません。臨床的な有用性を証明するワクチンの開発には、適切な標的抗原、免疫アジュバント、治療対象、試験デザインなどを選択し理想的な組み合わせを探索、検証する必要があります。

一方で、がんワクチンが効果を発揮するには腫瘍自身が誘導する免疫抑制に対処することが重要であり、免疫チェックポイント阻害剤など確立された免疫療法との併用は魅力的な治療戦略です。しかし、免疫チェックポイント阻害剤の理想的なパートナーとして、がん細胞を撃退する強力なCTLを誘導できるワクチンを開発することが本質的に必須と考えています。「がんペプチドワクチン治療学講座」は、引き続き研究を発展させていきます。

※がんワクチン療法
がんワクチン療法は、がんに対する免疫療法です。免疫とは「疫を免れる」という意であり、外敵・異物から生体を守る生体防御機構の要であります。外敵・異物には「抗原」という目印が存在し、それを標的に免疫機構は反応・機能して外敵・異物の情報を記憶し、それらの再度の侵入に迅速に対応します。がんにも抗原性が存在し免疫機構が反応していることが解明され今日に至っています。
近年、免疫療法はがんの魅力的な治療法となりました。一つは、Cytotoxic T-Lymphocyte Antigen4(CTLA-4)やProgrammed cell death1(PD-1)またはそのリガンドPD-L1に特異的なヒト化モノクローナル抗体を用いる免疫チェックポイント阻害剤です。

これらの免疫チェックポイントは腫瘍反応性T細胞の免疫抑制に関与し、抗体によるこれらの分子の遮断は、腫瘍に対するT細胞の免疫応答を増強します。また、キメラ抗原受容体T細胞(CAR-T)療法のような養子免疫療法は、特に血液学的ながんを有する患者にとって著名な臨床効果が注目されています。

一方、がんワクチン療法は、合成したワクチン抗原をいわばがんに対する目印として免疫することで抗腫瘍免疫系を刺激し腫瘍退縮を誘導する治療法です。ここで注目すべきは、がんワクチン療法、免疫チェックポイント阻害剤およびCAR-Tにおいて、いずれも細胞傷害性Tリンパ球(cytotoxic T lymphocytes:CTL)ががん細胞の攻撃において主導的役割を果たす点です。

 

aCTLががん細胞と正常細胞とを区別するために認識するマーカーは、細胞表面上に発現されるペプチド-ヒト白血球抗原(HLA)複合体です。がんワクチン療法は、樹状細胞(dendritic cell; DC)のような抗原提示細胞(antigen presenting cell:APC)のHLAクラスI/クラスII分子に濃縮抗原を送達し、がん細胞を攻撃する抗原特異的CTLの活性化および増殖を促進します。

がんワクチンの臨床的有用性は、これまでのほとんどの研究で明確に示されていません。しかしながら、最近のいくつかの臨床試験では、がんワクチンの有望な結果も報告されています。例えば、免疫細胞ベースのワクチンであるSipuleucel-Tは、ホルモン不応性前立腺がん患者の全生存期間を延長させ、2010年には、米国食品医薬品局(FDA)の承認を得た最初の治療用がんワクチンとなりました。

がんワクチンとしては、ペプチド、タンパク質、APC、腫瘍溶解物、腫瘍細胞、DNA、mRNAおよびウイルスベクターなどを接種する様々な戦略が研究されています。ペプチドワクチンの特徴としては、他のワクチン接種と比較して比較的製造コストが安価であり、医療費抑制の観点から開発による費用対効果が高い治療法となることが期待されます。

さらに、ペプチドワクチンは、そのエピトープ探索において、近年高度に開発が進むコンピュータアルゴリズムを利用してがん抗原由来の候補MHCクラスI拘束ペプチドエピトープのアミノ酸配列をスクリーニングし、その後これらの候補エピトープの免疫原性を実際に試験することで、実験的に特異的CTLの誘導を確認することができます。したがって、標的抗原に対する強い免疫応答を誘導する理想的なエピトープを選択することができる利点があります。

がんペプチドは、腫瘍抗原タンパク質の小断片であり、HLAと複合体を形成してがん細胞の表面上に発現します。がんペプチドワクチン療法では、腫瘍抗原由来の合成エピトープペプチドを大量に患者に投与します。これらのペプチドは、生体内でDCのようなAPC表面上のHLAと複合体を形成し、ナイーブCTLがペプチドとHLAクラスIの複合体を認識することで増殖活性化します。これらの活性化CTLは、がん細胞表面に提示された同一のペプチドを認識し、がん細胞を攻撃します。

がんワクチン療法の特徴
現在までのがんワクチン開発に関する臨床研究を通して、がんワクチンの効果判定法についての方向性が明らかになってきました。既存の抗がん剤は比較的速やかに効果が確認されることから、抗がん剤投与による腫瘍縮小を確認することが効果判定の指標とされました。

一方、がんワクチンの作用機序は患者さん自身のCTLの活性化を介しており、ワクチンによる抗原提示・抗原処理・リンパ球の活性化・がん細胞の死滅といった一連の過程には生体内で一定の時間を要することから、がんワクチンの臨床効果は、緩やかに、長期間にわたって現れます。

したがって、既存の抗がん剤に対する効果判定と同じ方法ではがんワクチン療法の評価は困難です。現状では、進行がんに対するがんワクチン療法の効果判定は腫瘍縮小にとらわれず、全生存期間の延長を確認することが最も適していると考えています。また、今後はがんワクチン開発における独自のサロゲート評価方法を開発することが必要であると考えられます。

この考えを支持するように、米国のFDAは、2011年11月に「Guidance for Industry: Clinical Considerations for Therapeutic Cancer Vaccines(企業向けガイダンス・がん治療用ワクチンのための臨床学的考察)」として企業向けのワクチンガイダンスを発行しました。この中でFDAは、がんワクチンの開発において従来の細胞傷害性薬剤や生物製剤の開発とは異なった臨床試験デザインを考慮する必要がある、と明記しています。

本邦においては、日本バイオセラピィ学会主導でがんペプチドワクチンに特化したガイダンスとして2012年12月に「がん治療用ペプチドワクチンガイダンス」が発行されました。さらに、2016年には日本臨床腫瘍学会主導で「がん免疫療法ガイドライン」が作成されました。本邦のガイダンスおよびガイドラインにおいても、FDAのガイダンス同様にがんワクチンの免疫系を介した遅発性効果を考慮し、適切な対象を選択すること、長期にわたる継続的投与による腫瘍縮小にとらわれない生命予後を主目的とした研究デザインを立案すること、遅発性効果を解析可能な科学的手法で評価することなどを推奨しています。

→A
食道がんに対するがんペプチドワクチン臨床研究
名称:

標準療法不応または不耐の進行・再発食道がんに対する新規腫瘍抗原 URLC10 および KIF20A と腫 瘍新生血管関連遺伝子 VEGFR-1 および VEGFR-2 由来ペプチドを用いた新規ペプチドワクチン療法
研究目的:
本臨床試験は、標準療法不応・不耐食道がんの患者を対象として、試験薬 URLC10、KIF20A、 VEGFR-1 および VEGFR-2 由来ペプチドワクチン療法の安全性を確認した上で、探索的に有効性を評価することを目的とします。
参加施設:
本研究にて患者さんにワクチンを投与した施設は以下です(順不同)。
参加施設 研究責任者
岐阜大学 第2外科 吉田和弘
神奈川県立がんセンター 免疫療法部 和田 聡
川崎医科大学 臨床腫瘍学 山口佳之
和歌山県立医科大学 第2外科 山上裕機
方法:
本臨床試験は、標準療法不応または不耐の進行・再発食道がんの患者を対象としました。なお、標準療法不応とは5FUおよびCDDPを含む治療を受けた結果、当該治療に不応と判断された状態と定義しました。
不応:治療を実施(減量や休薬も含む)するも、原疾患の増悪(画像上明らかな腫瘍増大はなくとも、臨床的に判断される原疾患の増悪を含む)がみられた状態を指します。
不耐:治療の実施および継続が臨床的に不可能と判断された状態を指します。
本臨床試験の試験治療は、試験薬(LY6K、KIF20A、VEGFR-1 および VEGFR-2 由来ペプチド)の投与としました。試験治療は 4 週 1 コースとし、1コース(4週)につきday1、day8、day15、day22の週1回(計4回)投与しました。1回につきLY6K、KIF20A、VEGFR-1およびVEGFR-2由来ペプチドを1mL皮下投与しました。本試験では被験者のHLAtypeに応じたHLA拘束性のLY6Kペプチド1.0mg、KIF20Aペプチド1.0mg、VEGFR-1ペプチド1.0mg、VEGFR-2ペプチド1.0mgを用いました。また、被験者のHLAtypeがHLA*A24かつHLA*A2の場合は両方のペプチドを投与しました。なお、マルチペプチドワクチンカクテルとしては同用量の安全性は確立されていないため、初期被験者9例(HLA*A24:3名、HLA*A2:3名、HLA*A24かつHLA*A2:3名)に対しては第Ⅰ相試験として重点的に安全性を確認しました。
安全性評価項目としては、(1)有害事象の発現(2 臨床検査値、バイタルサイン、12誘導心電図の変化、胸部CT検査の変化とし、ワクチン投与と因果関係が否定できない重篤な有害事象の発現を検討しました。主要な有効性評価項目は全生存期間としました。また、副次評価項目として、RECISTv1.1日本語訳JCOG版に基づく腫瘍縮小効果を評価しました。探索的研究として、一部の施設において別途同意が得られた患者さんにおいては、QOL 評価を実施しました。
結果:
安全性を確認する第Ⅰ相は和歌山県立医科大学で施行されました。HLA*A24のワクチンを投与した3名、HLA*A2ワクチンを投与した3名、さらにHLA*A24とHLA*A2の両方を投与した3名いずれも重篤な有害事象および副作用は認めませんでした。
第Ⅰ相パートで安全性が確認されたことを受け、第Ⅱ相パートは、多施設共同研究として施行されました。和歌山県立医科大学より13症例、神奈川県立がんセンターより5症例、岐阜大学より2症例、川崎医科大学より1症例の登録がありました。ワクチン投与と関連するGrade3以上の重篤な有害事象は認めず、本治療の安全性が確認されました。本臨床試験に登録された全30症例における有効性に関する主要評価項目の全生存期間は、Median Survival time(MST)が171日でした。
本研究デザインは比較対象のないシングルアーム試験であるため、生存期間延長に関する明確なエビデンスが示されてわけではありませんが、本試験の参加対象が他に治療法のない標準療法不応症例であることを鑑みると、生存期間の延長が示唆される結果でした。一方で、RECIST評価による腫瘍縮小を認めた症例は30例中1例で奏効率は3.3%でした。これまでの進行がんに対するペプチドワクチンの臨床研究の結果と同じく、本研究によるペプチドワクチン治療単独でも進行がんの腫瘍縮小効果を得ることは難しいと考えられました。
HLAタイプを指標とするサブグループ解析では、本試験のプロトコールに従い、HLA*A24のワクチン投与が17例、HLA*A2ワクチン投与が8例、さらにHLA*A24とHLA*A2の両方投与が5例に行われました。少ない症例の解析ですが、それぞれのグループのMSTを比較すると、HLA*A24ワクチン群が139日、HLA*A2ワクチン群が198日、さらにHLA*A24とHLA*A2の両方ワクチン群が212日と差を認めました。
考察:
まず、市民のためのがんペプチドワクチンの会のご寄付により施行した本研究において、他に治療法のない進行食道がん患者さん30例に対して研究治療を行うことができました。このことは、全国多施設の患者さんにご協力いただくことができ、いわゆる他に治療法がないと宣告された患者さんに希望の灯をともすことを一つの目的とした本研究は一定の成果を得たと考えています。
本研究の科学的成果として、進行食道がんに対するLY6K、KIF20A、VEGFR-1およびVEGFR-2由来エピトープペプチドのカクテル療法としてHLA*A24拘束性ペプチド、HLA*A2拘束性ペプチド、さらに、HLA*A24拘束性ペプチドとHLA*A2拘束性ペプチドの混合ペプチドがいずれも安全に投与できることが確認されました。また、本ペプチドワクチン療法は腫瘍縮小の奏功率は低いものの生存期間の延長が示唆される結果となり、さらに大規模な検討による本ペプチドカクテルワクチンの有用性検証試験の施行が望まれます。一方で、少数例の検討ながらHLAのタイプによりMSTに差がある傾向を認めたことは興味深いところです。
今回の検討では、HLA*A2症例がHLA*A24症例よりもMSTが延長する傾向を認めましたが、このことに関しては抗原やエピトープを変更することで異なる結果が得られる可能性があると考えています。しかし、HLA*A24かつHLA*A2症例が最もMSTが延長したことは、同一抗原に対するエピトープであっても異なるHLAに拘束性のペプチドをカクテルして投与することで臨床効果が増強する可能性を示唆していると考えます。本研究のように、同一抗原に対する異なるHLAタイプのペプチドを同時に投与することの有用性を検討する試験はこれまでにほとんど報告がなく、本研究によりペプチドワクチン開発の今後の方向性について非常に示唆に富む結果を得ることができました。
なお、食道がんに対するペプチドワクチンの開発としては、切除後食道がん患者に対する5つのがん抗原由来ペプチドカクテルワクチンの第III相試験が企業治験として現在進行中です。

→B
●膵がんに対するがんペプチドクチン臨床研究
名称:
Gemcitabineを1次治療とする局所進行および転移性膵がんに対する新規ペプチドカクテルワクチン療法-第Ⅰ/Ⅱ相臨床試験-
研究目的:
本臨床試験は、1次治療としてGemcitabine単剤投与を行う局所進行および転移性膵がん患者を対象として、試験薬FOXM1、DEPDC1、KIF20A、URLC10、VEGFR-1およびVEGFR-2ペプチドの安全性を確認した上で、ペプチドワクチンの有効性を探索的に評価することを目的としています。
参加施設:
本研究にて患者さんにワクチンを投与した施設は以下の通りです(順不同)。
参加施設 研究責任者
手稲渓仁会病院     消化器病センター 真口宏介
神奈川県立がんセンター 免疫療法部 和田 聡
和歌山県立医科大学 第2外科 山上裕機
方法:
本臨床試験の試験治療は、試験薬(FOXM1、DEPDC1、KIF20A、URLC10、VEGFR-1およびVEGFR-2ペプチド)を投与します。4週を1コースとします。1~6コースまでは1コースにつきday1、day8、day15、day22の週1回(計4回)投与します。7コース以降はday1のみ投与し、day8、day15、day22は休薬します。1回につき試験薬を1 mL皮下投与します。
1次治療として併用するGemcitabineは1コース(4週)につきday1、day8、day15の週1回(計3回)投与し、day22は投与しません。1回につきGemcitabineとして1、000mg/m2を点滴静注する。Gemcitabine中止後にペプチドワクチンと併用する2次治療以降については規定せず、添付文書や臨床試験プロトコールに準じた投与を行います。
結果:
1次治療の登録患者は17例、1次治療に関しては観察期間が最も長い症例で44.5ヵ月、生存期間中央値は7.23ヵ月です。ペプチドワクチンの注射部位反応に関しても16例中4例(25%)で潰瘍あるいは糜爛を形成する強い皮膚反応が生じています。注射部位に潰瘍形成を認めた患者では生存期間の延長を認めました(Log-rank p=0.021)。
考察:
潰瘍形成を伴うような注射部位の皮膚反応が見られた症例では生存期間の延長が示唆されました。VERFR2単剤のペプチドワクチンを用いたPEGASUS-PC試験では潰瘍形成を伴う注射部位の皮膚反応を認めた症例は10%に過ぎませんでしたが、本試験のカクテルワクチンでは25%と免疫応答の誘導率に上昇を認めました。

●標準療法不応膵がんに対するペプチドカクテルワクチン療法
名称:

標準療法不応膵がんに対する新規腫瘍抗原KIF20Aと標準療法不応・不耐膵がんに対するTS-1隔日投与併用新規ペプチドカクテルワクチン療法 -第Ⅰ/Ⅱ相臨床試験-

注)本研究も治療学講座で行った臨床研究です。臨床研究を行う際に、講座の趣旨として標準療法不応の患者さんを対象にした研究で下記試験を多施設に提案しましたが、予後の悪い膵癌についてはもっと早い段階でワクチンを投与する研究にすべきだという意見が多数を占め、上記試験を多施設で行うこととしました(一次治療併用のワクチン療法)。しかし、標準療法不応の患者さんに対して希望の灯をともしていく研究も必要ということで、下記研究は単施設(和歌山医大のみ)で行いました。

研究目的:
本臨床試験は、標準療法不応膵がんの患者を対象として、TS-1隔日投与法と併用する試験薬KIF20AとVEGFR-1およびVEGFR-2由来ペプチドの安全性を確認した上で、探索的に有効性を評価することを目的とします。
方法:
標準療法不応膵がんに対しては副作用を軽減し有効性も損なわないTS-1 隔日投与法(Yamaue、 et al. Cancer Chemother Pharmacol.2013)を併用した同じく6種のペプチドカクテルワクチンの臨床試験を開始しました。
結果:
登録症例は20例の生存期間中央値が105日(95%CI 0.00-231)と約3か月であり、S-1単剤の過去の報告と比較しても、生命予後の延長効果を示唆するような結果は得られませんでした。
考察:
標準療法が不応となった進行膵がんでのカクテルワクチンの有効性は認めませんでした。今後は免疫チェックポイント阻害剤との併用や免疫応答をより効率的に誘導できる樹状細胞ワクチン療法を考慮する必要があります。

→C
●看護研究

研究目的:
がんに対する治療効果判定において、治療による生存期間の延長と共に治療中のQuality of Life(QOL)は重要です。既存の薬物療法においても、治療中のQOLに着目することの重要性が認識され始めていますが、現状は治療に伴う副作用に関連した著しいQOLの低下を来すことも少なくありません。一方、がんペプチドワクチン療法は一般に腫瘍抗原由来もしくは腫瘍新生血管関連遺伝子由来のエピトープペプチドを投与し、投与したペプチドに対して誘導される特異的細胞傷害性Tリンパ球(CTL)が抗原特異的にがんを攻撃するため、抗がん剤治療や放射線治療と比べて副作用が極めて少ないと考えられ、治療期間中のQOL維持が期待されます。
したがって、がんペプチドワクチン治療による有効性を評価するにあたり、治療によるQOLの推移を客観的に評価することは極めて重要であると考えます。しかし、がんペプチドワクチン治療患者のQOLを客観的に評価した報告はほとんどありません。そこで、和歌山県立医科大学で行われたペプチドワクチンの臨床試験被験患者と同時期に化学療法を施行した患者のQOLの推移を前向きに経時的に評価することを目的としました。
方法:
食道がんおよび膵臓がんの患者さんで、和歌山県立医科大学でペプチドワクチンの臨床研究に参加した患者さん、および、同時期に化学療法を施行した患者さんのうち、本臨床研究に関する文書による同意が得られた患者さんを対象にしました。データ収集の方法は、治療開始のday1、day8、day15、day22、day29、day85、day169に担当医または看護師が調査票を患者に渡し、患者自らがQOL調査票に記入後担当医又は看護師が回収することとしました。QOL調査票は、EuroQol Groupが開発したEQ-5Dの日本語版とEORTC-C30の日本語版を用いました。
結果:
本研究は、一部解析が現在も進行中ですが、食道がんを対象とした研究の結果の一部を報告します。食道がんペプチドワクチン療法患者のQOLの変化では、治療中を通じてGlobal health statusが維持されることが明らかになりました。また、症状有害事象であるSymptom scalesも治療中大きな変動なく横ばいか、経時的にゆるやかに改善されることが示唆されました。
一方、化学療法(DCS)施行患者のQOL変化では、Global health statusが1週目、2週目に著しく低下することが明らかとなりました。しかし、一コース終了時には治療前の水準まで回復しており、コース毎のQOL変化のみを観察していたのでは、このようなQOLの変化がとらえられないことが示唆されました。
症状有害事象としてのSymptom scalesの変化では、治療中に疼痛はゆるやかに改善されましたものの、吐き気、便秘、倦怠感、食欲不振は1週目に増悪し、下痢は2週目をピークに増悪しました。しかし、いずれも1コース終了時には治療開始前の状態に改善しており、症状有害事象についても、少なくともweeklyに評価することが必要と考えられました。
考察:
ペプチドワクチン療法治療中患者では、QOL評価としてのGlobal health statusが維持されることが明らかとなりました。また、Patient reported outcome(PRO)によるQOL評価では、化学療法の症状有害事象の増悪が経時的に評価できることも明らかになりました。がんペプチドワクチン療法では、症状有害事象は少なく治療期間中のQOLが維持されることが示唆され、今後はさまざまながん腫に対する治療においても、PROを用いたQOLや有害事象を経時的に評価することが有用と考えられます。

→D
●LINEスタンプ作製

LINEスタンプ 患者の気持ち2

目的:
がんの臨床研究を進める中で、研究チームでは患者さんの深い想いに触れる機会が多くなりました。ちょうどその頃、市民のためのがんペプチドワクチンの会が、患者さんが悩みや思いをうまく伝えられるようにLINEスタンプ「患者の気持ち2」を作成したいという相談がありました。作成の趣旨に賛同した和歌山県立医科大学附属病院がんペプチドワクチン研究チームの看護師と医師は、患者さんのためのLINEスタンプを作成し市民のためのがんペプチドワクチンの会に提供しました。
方法・結果:
患者さんや家族にとって、想いを伝えることは大切であるが、なかなか自己の気持ちをストレートに表現することは難しいのが実際です。作成に当たっては、日々がん患者さんと接する立場から悩みや思いを受け止め、生活の質を評価する項目に沿って患者さんの気持ちを分析し、普段なかなか言葉にできない患者さんや家族の想いがLINEスタンプでうまく伝えられるよう配慮しました。LINEスタンプは、メッセージの文章に添えて喜怒哀楽などを表現するイラストです。イラスト作成も本研究チームが主導して行いました。感謝の気持ち、治療に対する前向きな気持ちや不安な気持ちなどに加え、痛みや食欲不振などの症状についても、症状の程度に応じて表現できるよう工夫しました。
考察:
スタンプ発売時には、県内の複数の新聞やテレビで報道されるなど注目された。作成したスタンプは、スタンプショップクリエイターズで現在も購入が可能です。

→E
基礎研究果

がんペプチドワクチン治療学講座では、さらに効果の期待されるがんワクチン開発に関する基礎的研究の充実も重要と考えました。そこでいくつかの基礎研究が行われましたが、そのうちの一つを紹介します。以下の研究は、和歌山県立医科大学外科学第2講座の山上裕機教授、生体調整部門教授の改正恒康教授のご指導の下で大学院生;水本有紀が中心となって行った研究です。

●生体内における樹状細胞への腫瘍抗原送達システムによる新規がんペプチドワクチン療法の開発
研究目的:
がんペプチドワクチンの効果が発揮されるためには抗原提示細胞、特に樹状細胞(Dendritic cell:DC)によりペプチド抗原が適切に細胞傷害性T細胞(CTL)に提示されることが重要です。近年、DCは不均一な集団であること、またそのサブセットによる機能的多様性が明らかになっています。その中には、がんに対する免疫応答を活性化させるサブセットばかりでなく、逆にブレーキをかける機能を持ったサブセットも存在します。
がんに対するCTLを強力に誘導することが明らかとなっているマウスのCD8+/CD103+DCおよびヒトのCD141+(BDCA3+)DCはケモカイン受容体XCR1を高率に発現することが明らかとなり、XCR1+DCという新たなDCサブセットとして分類されました。さらに、我々はケモカインXCL1がXCR1に特異的に結合することを利用し、XCL1とがん抗原ペプチドを連結させることでがん抗原ペプチドをXCR1+DCへ特異的に送達させる新規がんペプチドワクチン開発を行うこととしました。
方法:
抗原としてOvalbumin(OVA)由来のMHC classI拘束性ペプチド(OVA257-264)を用い、マウスXCL1(mXCL1)と連結させたワクチン(mXCL1-OVAペプチドワクチン)を作成しました。
C57BL/6マウスの骨髄細胞を採取し骨髄由来DC(BMDC)を得ました。1×106個のBMDCをporeサイズ5.0µmのtranswell(Corning)のupper chamberに載せ、lower chamberは0、10、30、100、300ng/mlの濃度を振ったmXCL1またはmXCL1-OVAペプチドワクチンを含むmediumで満たして2時間incubation後、lower chamberの細胞数をフローサイトメーターでカウントしました。
C57BL/6マウスにmXCL1-OVAペプチドワクチンと、樹状細胞のなかではXCR1+DCで発現するToll-like receptor3(TLR3)のagonistであるpoly(I:C)を免疫アジュバントとしてともに皮下投与し、7日後にマウス脾細胞を採取、フローサイトメーターにて解析しCTLからの抗原特異的なIFNγ産生を評価しました。
OVA抗原を発現するマウス悪性黒色腫細胞株B16-OVAをC57BL/6マウスの皮下に5×105個接種し、腫瘍接種後7、14日目にmXCL1-OVAペプチドワクチン+poly(I:C)を接種し。腫瘍径を継時的に測定しました。
結果:
mXCL1-OVAペプチドの発現ベクターを作成してmXCL1-OVAペプチドワクチンを精製し、Western blottingおよびCBB protein assayにより精製を確認しました。作製したmXCL1-OVAペプチドワクチンについてXCL1リガンドとしての機能が保たれているかをXCL1が示す走化性について解析しました。Transwellのupper chamberにBMDCを播種しlower chamberにXCL1を添加すると、XCR1を発現しているDCは走化性を示しlower chamberに遊走します。
そこでlower chamberにmXCL1-OVAペプチドワクチン添加し、BMDCの遊走を検討した結果、濃度依存的なXCR1+DCの遊走が確認できました。この遊走能はマウスXCL1でみられるものと同等であったことから、精製されたmXCL1-OVAペプチドワクチンは、機能的な活性を保持していることが確認できました。
次に、mXCL1-OVAペプチドワクチンの投与により抗原特異的CTLが誘導されるかを検討しました。マウスに、PBS、OVA257-264ペプチド+poly(I:C)、OVAタンパク+poly(I:C)またはmXCL1-OVAペプチドワクチンとpoly(I:C)を投与し、誘導される抗原特異的CTLについて検討しました。その結果、PBS、OVA257-264ペプチド+poly(I:C)投与群ではほとんど抗原特異的CTLは誘導されませんでした。また、OVAタンパク+poly(I:C)群ではわずかにCTLが誘導されたのに対して、mXCL1-OVAペプチドワクチン+poly(I:C)群は、その4倍以上の抗原特異的CTLの誘導を認めました(CD8+ T細胞中のIFNγ+細胞の割合の平均はそれぞれ、 1.9% vs 8.3%)。すなわち、mXCL1-OVAペプチドワクチンは、非常に効率よく抗原特異的CTLを誘導できることが明らかになりました。
次に、mXCL1-OVAペプチドワクチンが、in vivo(生体外)における腫瘍増殖を抑制できるかを検討しました。B16-OVAをマウスに移植し、移植後7、14日後にPBS、OVA257-264ペプチド+poly(I:C)、OVAタンパク+poly(I:C)、およびmXCL1-OVAペプチドワクチン+poly(I:C)を免疫し、腫瘍増殖を比較検討しました。その結果、 mXCL1-OVAペプチドワクチン+poly(I:C)投与群は、腫瘍接種から18後日には他のワクチン投与群と比較して腫瘍の増殖が有意に抑制されました。
考察:
本研究では、 DCサブセットの中でもCTLの誘導能に優れたXCR1+DCに選択的に抗原を送達できれば、より効率良く抗原特異的CTLが誘導できると考えました。実際我々が作製したXCL1と抗原を連結したワクチンは、抗原特異的CTLを強力に誘導し、さらにマウスモデルにて効果的な腫瘍増殖抑制を確認できました。今後、適切な腫瘍抗体を標的とするエピトープペプチドに対するXCL1との連結ワクチンを開発し臨床応用することで、画期的なペプチドワクチン療法が開発されることが期待されます。

→F
●厚生労働省科研費研究

研究目的:
がん免疫療法の有効例を抽出するための効果予測因子の同定は重要な課題です。第II相医師主導治験として実施した「膵がんに対する術後再発予防のための2方向性新規ペプチドワクチン療法の開発」におけるペプチドワクチン有効例から効果予測因子を検討しました。
参加施設:
手稲渓仁会病院  消化器病センター 真口宏介
がん研究会有明病院  消化器内科 石井 浩
愛知県がんセンター中央病院 消化器内科 山雄健次
和歌山県立医科大学  第2外科 山上裕機
方法:HLA-A24:02陽性、肉眼的治癒切除後膵がん患者30例を対象として、Gemcitabineの併用下でペプチドワクチンカクテルOCV-C01を用いた多施設共同第II相臨床治験を実施しました(UMIN000007991)。4週1コースとし、OCV-C01(KIF20Aペプチド:3mg、VEGFR1ペプチド:2mg、VEGFR2ペプチド:2mg)は週1回の投与で12コースまで、Gemcitabine(1、000 mg/m2)は週1回3週投与、4週目は休薬で6コースまで実施しました。フォローアップ期間は登録から18ヵ月としました。主要評価項目はdisease-free survival(DFS)とし、副次的評価項目には免疫学的解析(ELISPOT assay、切除標本におけるKIF20A発現解析)を含めました。
結果:
DFS中央値は15.8(95%CI、11.1-20.6)ヵ月でした。プロトコールに準じた解析対象集団(per protocol set)27例において、KIF20A特異的CTL陽性例は陰性例と比較して有意にDFSの延長を認めました(p=0.027)。また、切除標本におけるKIF20A発現陽性例は陰性例と比較して有意にDFSの延長を認めました(p=0.014)。KIF20A発現とKIF20A特異的CTL誘導には有意な相関関係を認めました(p=0.009)。さらに、病理学的治癒切除が得られた患者23例のうち、KIF20A発現陽性の4例では再発を認めず、有意にDFSの延長を認めました(p=0.011)。この4例ではいずれも治療前に特異的CTL発現が陰性、治療後に陽性に転じていました。

Int J Cancer. 2017;140(4):973-982.

考察:
本研究の結果から、膵がん術後患者に対する治験薬の投与は安全で、ワクチンの投与により術後の再発が予防されることが示唆されました。膵がんの手術後は、がんペプチドワクチンが有用性を発揮できる良い対象集団であることが明らかとなりました。本研究の問題点として、治験薬の標的抗原としたKIF20Aは、膵がん切除標本おける発現がわずか23%と低率でした。したがって、今後は膵がんにおいてより高発現の腫瘍抗原を標的とすることで、さらなる治療効果の上乗せが期待できます。

●新しい治験の開始

WT1ペプチドワクチン治験
米国国立がん研究所による免疫原性、発がん特性、特異性を含む客観的基準に基づいたがん抗原のランキングを行ったパイロット研究では、WT1抗原が第1位となりました。WT1は様々な悪性腫瘍において高頻度に発現し、発がん機能を果たすことが示されており、WT1に対する細胞性および液性の免疫応答ががん患者において自然に誘導されることはWT1の強い免疫原性を示すと考えられます。WT1ペプチドベースの免疫療法の臨床研究が、小児を含む様々な悪性腫瘍患者において行われ有望な結果も得られています。
研究目的:
転移性膵がんに対する WT1ペプチドカクテルワクチン(DSP-7888)療法の安全性および有効性を探索的に検討します。
方法:
【投与方法】
(1)治験薬 コース数により DSP-7888を次の用量、用法で皮内投与します。2コースまで週1回投与(10.5mg(600μL)を6ヵ所にわけて投与)3コース以降 2週毎に投与(3.5mg(200μL)を2ヵ所にわけて投与)投与部位は限定しませんが、可能な限り両上腕または両大腿部などの所属リンパ節近傍とします。ただし、発赤や硬結の副作用が懸念されるため、患者の日常生活の妨げにならない部位を 選択します。
(2)併用薬 GEM+nab-PTX を1コースにつき Day1、Day8、Day15に点滴静注投与し、Day22は投与しません。
【投与期間】
4週間を1コースとし、2コース終了後、RECIST PDであれば治療を中止します。2コース終了後、PD でなければ、治験薬を2週間に1回投与、GEM+nab-PTXは変更せずに継続します。継続した場合、2コース毎に画像評価し、RECIST PD で治療を中止します。ただし、RECIST 評価にかかわらず、治験薬の最長投与期間は登録後6ヵ月間もしくは6コースとします
展望:
本研究では転移性切除不能膵がんを対象に1次治療としてのGEM+nab-PTXにWT1-7888を併用した第Ⅰ相医師主導治験を行い、主要評価項目である安全性について調査するとともに、探索的項目として治験製品投与による臨床免疫学的効果と腫瘍局所の浸潤リンパ球やWT1の発現、免疫チェックポイント分子の発現との関連を調査します。2017年11月に症例登録開始し、2018年2月に6例の登録を終了しました。今後は6ヵ月のフォローアップを行い、安全性、有効性に関するデータ、探索的研究のデータを解析予定です。

→G
●樹状細胞ワクチン研究

予防用ワクチンとは対照的に治療用がんワクチンは、強力なCTLを惹起するために腫瘍細胞によって獲得された免疫寛容を打破しなければなりません。樹状細胞ワクチンはペプチドワクチンよりも効率よく強力なCTLを誘導することができる有望な治療戦略の一つと考えられます。ペプチドワクチン療法では、投与されたペプチドが患者生体内のDCに表出するHLAに直接送達されることを期待していますが、同時に樹状細胞(Dendritic cell;DC)以外のnon-professionalな抗原提示細胞のHLA上にも送達されることとなります。また、生体内の樹状細胞は通常未熟な状態で存在しており、ペプチドワクチンが活性化CTLを十分に誘導できない可能性が指摘されています。
そこで、ペプチドワクチン療法においては、通常DCを成熟化させるワクチンアジュバントをペプチドとともに投与します。様々なワクチンアジュバントの開発も精力的に進められていますが、樹状細胞を強力に成熟化させるアジュバントは一般に全身性の炎症反応を惹起するため、ペプチドワクチン療法では生体内で効率的にCTLを誘導し、かつ、重篤な副作用を示さないワクチンアジュバントの開発も課題となっています。
樹状細胞ワクチン療法は、体外において作製した成熟DCに抗原由来ペプチドをパルスして患者に投与する治療であり、上述のペプチドワクチン療法の問題点を克服することが期待されます。樹状細胞ワクチンに用いるDCは、アフェレーシス(成分採血)などで採取した患者の末梢血単球をGM-CSFとIL-4とともに培養することで試験管内において作製することができます。
このようにして作製したDCを試験管内でワクチンアジュバントに暴露して十分成熟化させ、さらに試験管内でがん抗原をパルスすることで、CTLを効率よく誘導するために理想的な樹状細胞ワクチンを試験管内で大量に準備することができます。樹状細胞ワクチンの開発においては、腫瘍抗原ペプチドのみならず抗原タンパクを成熟樹状細胞にパルスして投与する、あるいは腫瘍抗原遺伝子を遺伝子導入した成熟樹状細胞を投与するといった試みもなされています。
進行膵がん患者を対象とした化学療法併用のWT-1ペプチドパルス樹状細胞ワクチンのレトロスペクティブな報告では、重篤な有害事象なく生存期間を延長することが示唆されました。また、同じく進行膵がん患者に対する化学療法併用WT-1ペプチドパルス樹状細胞ワクチンの臨床試験においても、ワクチン投与による安全性が確認され、免疫反応陽性症例ではワクチンの腫瘍増殖抑制や生存期間の延長が示唆されることが報告されています。これらの報告を踏まえ、我々はpivotal studyとして、標準療法不応進行膵がんに対するS-1併用WT-1ペプチドパルス樹状細胞(TLP0-001)の多施設共同プラセボ対象二重盲検ランダム化比較医師主導治験を開始しました。
研究目的:
標準療法不応もしくは不耐膵がんと診断された患者を対象として、対照製品群(プラセボおよびS-1併用療法群)に対する被験製品群(TLP0-001およびS-1併用療法群)の安全性および全生存期間を指標とする有効性を評価します。
方法:
本試験は中央登録により被験製品群、対照製品群に1:1の比で動的ランダム割り付けする、多施設共同、二重盲検、ランダム化比較第Ⅲ相試験です。主要目的として、標準療法不応もしくは不耐膵がんと診断された患者さんを対象として、対照製品群に対する被験製品群の安全性および全生存期間を指標とする有効性を評価します。ただし、被験製品群として最初の6例が1コース終了した時点で安全性に関する中間解析を実施します。安全性が評価されるまでは、和歌山県立医科大学単独で施行することとし、その後は全国多施設共同研究として展開します。本研究は、全国185名の患者さんにご協力いただく予定です。

2017ASCO annual meeting, Chicago 2017,6.より改変展望

樹状細胞ワクチンはGMPグレードでの樹状細胞の調整が必要で臨床応用へのハードルは高いのですが、本邦においても再生医療製品の開発に関する法律が整備されるなどその開発の基盤は整いつつあり、今後のさらなる開発が望まれます。

●研究成果報告ダウンロード

研究業績
【国際学会】

1. M. Miyazawa, T Ojima, M. Kawai, S. Hirono, K. Okada, A. Shimizu, Y. Kitahata, H. Yamaue:Dendritic Cells Adenovirally-transduced with Full-length Mesothelin cDNA Elicit Mesothelin-specific Cytotoxicity against Pancreatic Cancer Cell Lines in vitro. 18th International Association of Pancreatology (IAP) Annual Meeting 2nd Shanghai International Pancreatic Diseases Symposium 27-29, Aug, 2015 |Shanghai China
2. Miyazawa M, Katsuda M, Maguchi H, Ishii H, Yamao K, Kawai M, Hirono S, Okada K, Shimizu A, Kitahata Y, Yamaue H:Phase II clinical trial using a novel peptide vaccine cocktail combined with gemcitabine for surgically resected pancreatic cancer patients  HBP Surgery Week 2017 &The 46th Annual Congress of the Korean Association of HBP Surgery, March, 2017 Jeju
3. Miyazawa M, Ojima T, Katsuda M, Hayata K, Nakamura M, Nakamori M, Manabu K, Hirono S, Okada K, Shimizu A, Kitahata U, Yamaue H. Dendritic cell vaccine transduced with ubiquitin-mesothelin fusion gene for pancreatic cancer. ASCO 2016 June Chicago
4. Katsuda M, Miyazawa M, Kawai M, Hirono S, Okada K, Shimizu A, Kitahata Y, Yamaue H: A phase III, double-blind, randomized clinical trial comparing S-1 in combination with DC vaccine loaded with WT1 peptides (TLP0-001) or placebo for the patients with advanced pancreatic cancer refractory to standard chemotherapy. 2017ASCO annual meeting, Chicago 2017,6.
5. Katsuda M, Miyazawa M, Kitahata Y, Mizumoto Y, Nakamori M, Nakamura M, Ojima T, Hayata K, Tsumura A, Yamaue H: Development of therapeutic cancer peptide vaccine for the patients with gastro-intestinal cancer in Wakayama Medical University. The 4th International Conference of Federation of Asian Clinical Oncology, Amoi China 2016,9.
6. Katsuda M, Iwahashi M, Miyazawa M, Nakamori M, Nakamura M, Ojima T, Hayata K, Yamaue H : Therapeutic peptide vaccine therapy in combination with CpG-B for the patients with advanced esophageal squamous cell carcinoma. 2016ASCO annual meeting, Chicago 2016, 6.
7. Perspective of immunotherapy for gastric cancer in Wakayama Medical University. International gastric cancer symposium in Wakayama,2016.3

【国内学会】
1. 宮澤基樹 勝田将裕 川井 学 廣野誠子 岡田健一 清水敦史 北畑裕司 水本有紀 北谷純也 津村亜矢子 山上裕機:膵癌に対するペプチドワクチン療法臨床試験 第36回癌免疫外科研究会 2015.5.14 奄美大島
2. 宮澤基樹 川井 学 廣野誠子 岡田健一 清水敦史 北畑裕司 山上裕機:膵癌に対するペプチドワクチン療法臨床試験 第46回日本膵臓学会大会 2015.6.20 名古屋市
3. 宮澤基樹 勝田将裕 川井学 廣野誠子 岡田健一 清水敦史 北畑裕司 水本有紀 北谷純也 津村亜矢子 和田聡 山上裕機:進行膵癌に対する化学療法を併用した新規がんペプチドワクチンの臨床研究 第53回日本癌治療学会学術集会 2015.10.16 京都
4. 宮澤基樹 勝田将裕 川井学 廣野誠子 岡田健一 清水敦史 北畑裕司 水本有紀 北谷純也 津村亜矢子 和田聡 山上裕機:切除不能膵癌に対する新規ペプチドワクチン療法 -第I/II相臨床試験- 第28回日本バイオセラピィ学会 2015.12.4 川越市
5. Miyazawa M, Katsuda M, Kawai M, Hirono S, Okada K, Shimizu A, Kitahata Y, Mizumoto Y, Wada S, Yamaue H:Clinical trials using therapeutic peptide vaccine for patients with advanced pancreatic cancer The 71th General Meeting of the Japanese Society of Gastroenterological Surgery 2016.6 Tokushima
6. 宮澤基樹 勝田将裕 川井 学 廣野誠子 岡田健一 清水敦史 北畑裕司 真口宏介 金 俊文 和田 聡 山上裕機:膵癌に対するがんペプチドワクチン臨床研究 第54回日本癌治療学会学術集会 2016.10 横浜市
7. 宮澤基樹 勝田将裕 真口宏介 石井 浩 山雄健次 川井 学 廣野誠子 岡田健一 清水敦史 北畑裕司 山上裕機:膵癌に対する再発予防のための新規ペプチドワクチンを用いた第Ⅱ相医師主導治験 第29回日本バイオセラピィ学会 2016.12 久留米市
8. Motoki Miyazawa, Katsuda Masahiro, Hiroyuki Maguchi, Hiroshi Ishii, Kenji Yamao, Manabu Kawai, Seiko Hirono, Ken-ichi Okada, Atsushi Shimizu, Yuji Kitahata, Hiroki Yamaue: Phase II clinical trial using a novel peptide vaccine cocktail combined with gemcitabine for surgically resected pancreatic cancer patients. 6th A-PHPBA 29th JSHBPS 2017.6 Yokohama
9. 宮澤基樹 勝田将裕  真口宏介 石井浩 山雄健次 川井 学  廣野誠子  岡田健一  清水敦史 北畑裕司 山上裕機:膵癌に対する術後再発予防のための新規ペプチドワクチン療法の第II相医師主導治験 第48回 日本膵臓学会大会 2017.7 京都市
10. Motoki Miyazawa, Katsuda Masahiro, Hiroyuki Maguchi, Hiroshi Ishii, Kenji Yamao, Manabu Kawai, Seiko Hirono, Ken-ichi Okada, Hiroki Yamaue:Phase II clinical trial using a novel peptide vaccine as a postoperative adjuvant therapy for pancreatic cancer The 72th General Meeting of the Japanese Society of Gastroenterological Surgery 2017.7 Kanazawa
11. 宮澤基樹 川井 学 廣野誠子 岡田健一 清水敦史 北畑裕司 小林良平 山上裕機 高度技能専門医の修練からみた安全な膵頭十二指腸切除術 第44回 日本膵切研究会 2017.8 横浜市
12. 宮澤基樹 勝田将裕  真口宏介 石井浩 山雄健次 川井 学  廣野誠子  岡田健一  北畑裕司 小林良平 山上裕機:膵癌に対する新規ペプチドワクチン療法の効果予測因子の検討 第30回日本バイオセラピィ学会 2017.11 岐阜市
13. 宮澤基樹 勝田将裕 川井 学 廣野誠子 岡田健一 北畑裕司 小林良平 山上裕機:膵癌術後補助療法としての新規ペプチドワクチン療法の効果予測因子の検討 第118回日本外科学会定期学術集会 2018.4 東京千代田区
14. 勝田 将裕、宮澤 基樹、中森 幹人、中村 公紀、尾島 敏康、早田 啓治、松村 修一、加藤 智也、北畑 裕司、水本 有紀、北谷 純也、山上 裕機 HLA-A02/24の標準療法不応進行再発食道癌患者に対する新規がんペプチドワクチン臨床試験 第115回日本外科学会学術集会、名古屋、2015.4
15. Masahiro Katsuda, Mikihito Nakamori, Masaki Nakamura, Toshiyasu Ojima, Keiji Hayata, Shuichi Matsumura, Motoki Miyazawa, Yuji Kitahata, Yuki Mizumoto, Hiroki Yamaue: Peptides vaccine therapy for the HLA-A24/A02 patients with advanced esophageal cancer. 第70回日本消化器外科学会総会、 浜松、 2015.7
16. 勝田 将裕、宮澤 基樹、中森 幹人、中村 公紀、尾島 敏康、早田 啓治、松村 修一、加藤 智也、北畑 裕司、水本 有紀、北谷 純也、津村 亜矢子、和田 聡、山口 佳之、山上 裕機:進行・再発食道癌に対するHLA-A02 又はHLA-A24 拘束性ペプチドワクチン療法 第53回日本癌治療学会学術集会、 京都、 2015.10
17. 勝田将裕、宮澤基樹、北畑裕司、水本有紀、津村亜矢子、中森幹人、中村公紀、尾島敏康、早田啓治、北谷純也、和田 聡、山口佳之、山上裕機進行再発食道癌に対するHLA-A24/02ペプチドワクチン療法 第28回日本バイオセラピィ学会学術集会、埼玉、2015.12
18. 勝田将裕、 宮澤基樹、 北畑裕司、 水本有紀、 中森幹人、 中村公紀、 尾島敏康、 早田啓治、 津村亜矢子、 山上裕機 : 【シンポジウム】The challenges and prospects to develop therapeutic cancer vaccines against gastro-intestinal cancer. 第71回日本消化器外科学会、 徳島 2016、 7.
19. 水本有紀、 勝田将裕、 宮澤基樹、 北畑裕司、 宮本篤、 中森幹人、 松田健司、 尾島敏康、 早田啓治、 北谷純也、 邊見弘明、 改正恒康、 山上裕機 : 【ワークショップ】ケモカインXCL1を用いたがんペプチドワクチン療法の開発 第29回日本バイオセラピィ学会、 久留米 2016、 11.
20. 北畑裕司、 勝田将裕、 宮澤基樹、 水本有紀、 宮本篤、 中森幹人、 尾島敏康、 石井健、 山上裕機 : 【ワークショップ】次世代型TLR 9アゴニスト (K3 – SPG) の抗腫瘍効果とそのメカニズムの解析 第29回日本バイオセラピィ学会、 久留米 2016、 11.
21. 勝田将裕、宮澤基樹、中森幹人、中村公紀、川井 学、尾島敏康、廣野誠子、辻 俊明、北畑裕司、水本有紀、宮本 篤、山上裕機 : 【シンポジウム】消化器癌に対するがんワクチンの現状と展望. 第50回制癌剤適応研究会、 徳島 2017、 3.
22. 勝田将裕、宮澤基樹、中森幹人、中村公紀、川井 学、尾島敏康、廣野誠子、岡田健一、北畑裕司、山上裕機 : 【シンポジウム】近未来に向けての消化器癌に対するがんワクチン療法の開発. 第44回和歌山悪性腫瘍研究会、 2016、 12. 和歌山
23. 勝田将裕、宮澤基樹、北畑裕司、水本有紀、宮本 篤、山上裕機 : 【シンポジウム】がんワクチン創薬を目指して. 第6回日本免疫・細胞治療学会学術総会、 2017、 12. 東京
24. 勝田将裕、宮澤基樹、北畑裕司、水本有紀、宮本 篤、中森幹人、中村公紀、川井 学、尾島敏康、山上裕機 : 【シンポジウム】消化器癌に対するがん免疫療法の現状と展望.第45回和歌山悪性腫瘍研究会、 2017、 12. 和歌山
25. 勝田将裕、宮澤基樹、北畑裕司、水本有紀、宮本 篤、中森幹人、中村公紀、川井 学、尾島敏康、山上裕機 : 【ワークショップ】標準療法不応進行膵癌に対するS-1併用樹状細胞ワクチンの医師主導治験.第30回日本バイオセラピィ学会、 2017、 11. 岐阜

英語論文
Katsuda M and Yamaue H: Cancer vaccine therapy based on peptides. Trends in immunother.1:10-18, 2017

Kitadani J, Ojima T, Iwamoto H, Tabata H, Nakamori M, Nakamura M, Hayata K, Katsuda M, Miyajima M, Yamaue H. Cancer Vaccine Therapy Using Carcinoembryonic Antigen – expressing Dendritic Cells generated from Induced Pluripotent Stem Cells. Sci Rep. 15;8(1):4569, 2018.

Yamaue H, Shimizu A, Hagiwara Y, Sho M, Yanagimoto H, Nakamori S, Ueno H, Ishii H, Kitano M, Sugimori K, Maguchi H, Ohkawa S, Imaoka H, Hashimoto D, Ueda K, Nebiki H, Nagakawa T, Isayama H, Yokota I, Ohashi Y, Shirasaka T. Multicenter, randomized, open-label Phase II study comparing S-1 alternate-day oral therapy with the standard daily regimen as a first-line treatment in patients with unresectable advanced pancreatic cancer. Cancer Chemother Pharmacol. 2017;79(4):813-823.

Miyazawa M, Katsuda M, Maguchi H, Katanuma A, Ishii H, Ozaka M, Yamao K, Imaoka H, Kawai M, Hirono S, Okada KI, Yamaue H. Phase II clinical trial using novel peptide cocktail vaccine as a postoperative adjuvant treatment for surgically resected pancreatic cancer patients. Int J Cancer. 2017;140(4):973-982.

Yamaue H, Tsunoda T, Tani M, Miyazawa M, Yamao K, Mizuno N, Okusaka T, Ueno H, Boku N, Fukutomi A, Ishii H, Ohkawa S, Furukawa M, Maguchi H, Ikeda M, Togashi Y, Nishio K, Ohashi Y: Randomized phase II/III clinical trial of elpamotide for patients with advanced pancreatic cancer: PEGASUS-PC Study. Cancer Sci. 2015;106:883-90.

Yoshimura S, Tsunoda T, Osawa R, Harada M, Watanabe T, Hikichi T, Katsuda M, Miyazawa M, Tani M, Iwahashi M, Takeda K, Katagiri T, Nakamura Y, Yamaue H: Identification of an HLA-A2-restricted epitope peptide derived from hypoxia-inducible protein 2 (HIG2). PLoS One. 2014 Jan 8;9:e85267.

Iwamoto H, Ojima T, Hayata K, Katsuda M, Miyazawa M, Iida T, Nakamura M, Nakamori M, Iwahashi M, Yamaue H: Antitumor immune response of dendritic cells (DCs) expressing tumor-associated antigens derived from induced pluripotent stem cells: in comparison to bone marrow-derived DCs. Int J Cancer. 2014;134:332-41.

Hayata K, Iwahashi M, Ojima T, Katsuda M, Iida T, Nakamori M, Ueda K, Nakamura M, Miyazawa M, Tsuji T, Yamaue H: Inhibition of IL-17A in tumor microenvironment augments cytotoxicity of tumor infiltrating lymphocytes in tumor-bearing mice. PLoS One. 2013;8:e53131.

日本語論文・総説
1. 勝田将裕、 山上裕機 :膵癌に対する樹状細胞ワクチンの開発と治験. ファルマシア 53: 979-983、 2017
2. 勝田将裕、 山上裕機 : チェックポイント阻害剤-抗CTLA-4抗体. 呼吸器内科 31: 317-322、 2017
3. 勝田将裕、 山上裕機 : がん免疫チェックポイント阻害薬と他の免疫療法の併用は邪道か王道か? 腫瘍内科 19: 17-23、 2017
4. 北谷純也、 尾島敏康、 岩本博光、 田畑宏尭、 中森幹人、 中村公紀、 勝田将裕、 宮澤基樹、 早田啓治、 山上裕機 : CEA遺伝子導入ヒトiPS細胞由来樹状細胞 (iPSDCs) を用いた癌ワクチン療法の検討. 癌と化学療法 43:1071-1073、 2016
5. 北畑裕司、 勝田将裕、 山上裕機 : がん免疫療法~がんワクチン療法の現況と課題. 日本病院薬剤師会雑誌 52: 489-493、 2016
6. 勝田将裕、 山上裕機 : 膵臓癌に対するペプチドワクチンの現況と展望. 日本臨床. 73: 433-437、 2015.
7. 勝田将裕、 山上裕機 : 免疫療法の現況. 肝胆膵 71: 119-125、 2015
8. 岩本博光、尾島敏康、中森幹人、中村公紀、早田啓治、勝田将裕、飯田武、宮澤基樹、岩蓮誠、山上裕機.腫瘍抗原(TAA)遺伝子導入iPS細胞由来樹状細胞(iPSDCs)を用いた癌ワクチン療法.癌と化学療法 40: 1575-1577、 2013
9. 勝田将裕、 山上裕機 : 最新のがんワクチン治療効果判定法 FDAガイダンス、 日本バイオセラピィ学会ガイダンスを踏まえて. 実験医学 31: 2033-2037、 2013

書籍
1. Katsuda M and Yamaue H: VI. Immunoadjuvants 17.CpG Motif. Immunotherapy of Cancer: An Innovative Treatment Comes of Age, Yamaguchi Y, 223-233, Springer Japan, 2016.
2. 勝田将裕、 山上裕機 : がんワクチン療法の研究動向と今後の可能性. 先端治療技術の実用化と開発戦略、 109-113、 技術情報協会、 東京、 2017
3. 宮澤基樹、 勝田将裕、 山上裕機 : がんワクチンと免疫チェックポイント阻害薬のコンセプトの違い. がん分子標的治療、 川上裕 13: 443-447、 メディカルレビュー社、 東京、 2015.
4. 勝田将裕、 山上裕機 : CHAPTER4 がんワクチン・細胞治療1 がんペプチドワクチン療法開発の現状と展望. 分子細胞治療フロンティア2015、 139-146、 外科分子治療研究会、 2014.

看護研究関連
1. 瀧上智珠子他、食道癌化学療法被験者のQuality of lifeに関する検討 第53回日本癌治療学会学術集会、京都、2015.10
2. 武野明香他、 食道癌化学療法被験者のQuality of lifeに関する検討 第20回和歌山県病院協会学術大会、和歌山、2015.11
3. 南本静香他、 膵臓癌ペプチドワクチン療法被験者と化学療法施行者のQuality of Lifeの比較検討 第42回和歌山悪性腫瘍研究会、和歌山、2015.12
4. 久保尚子他、 膵臓がんペプチドワクチン療法被験者と化学療法施行者のQuality of Lifeの比較検討 第28回日本バイオセラピィ学会学術集会、埼玉、2015.12
5. 片山理恵他、 食道がんペプチドワクチン療法被験者と化学療法施行者のQuality of Lifeの比較検討 第28回日本バイオセラピィ学会学術集会、埼玉、2015.12
6. 南本静香他、食道癌化学療法被験者のQuality of lifeに関する検討、第54回日本癌治療学会学術集会、横浜、2016.10
7. 林智珠子他、膵臓がんペプチドワクチン療法被験者と化学療法施行者のQuality of Lifeの比較検討、第29回日本バイオセラピィ学会学術集会、福岡、2016.12
8. 森本杏菜他、食道癌化学療法被験者のQuality of lifeに関する検討、第43回和歌山悪性腫瘍研究会、和歌山、2016.12
9・ 友成悠里他、膵臓がん化学療法施行者のQuality of Lifeの比較検討、第31回日本がん看護学術集会、高知、2017.2
10. 友成悠里他 、食道癌薬物治療におけるQuality of Lifeの経時的評価の有用性、第55回日本癌治療学会学術集会、横浜、2017.10
11.森本杏菜他、食道癌薬物治療におけるQuality of Lifeの経時的評価の有用性、第44回和歌山悪性腫瘍研究会、和歌山、2017.12