実現をめざす取り組み
正当に迅速に承認されるために。がんペプチドワクチン用ガイダンス
ガイダンスがとても重要な理由
治療薬や治療機器は、効くかどうか、また安全かどうかを国が認定して初めて、治療薬や治療機器として発売されるスタートにつくことができます。その認定の基準になるのが「ガイダンス」です。

ペプチドワクチンが効くかどうか(功を奏する、奏功と言います)の判定ですが、ワクチンは、従来の抗がん剤のように直接がんに作用するのではなく、ヒトの免疫系に作用してその免疫系ががんに対して間接的に効果を発揮します。したがって、従来の抗がん剤と大きく異なる基準を元に開発される必要があります。


例えば、ペプチドワクチンは治療開始後半年ぐらいから効果が出始めることが経験的に知られています。これは、徐々に抗体が体内で作られてくるまでに時間がかかるので、従来の抗がん剤とは全く異なる作用機序です。


また、ペプチドワクチンを投与された場合、腫瘍はほとんど縮小しないのに患者は元気である場合が多いこともこれまでの研究でわかってきました。患者にとってはがんが暴れまくりさえしなければ共存していてもかまわないと思います。もし、従来の奏功の判定のように、腫瘍が退縮しないと奏功したとはいえないとなると、ペプチドワクチンは奏功しない、つまり効いていないという判定となってしまうでしょう。


さらには、奏功試験の時期も問題です。免疫を介して効果を発揮する以上、免疫状態が保たれている対象を選択する必要があるでしょう。手術後の再発予防に対する奏功を見るのは、がん患者にとっても大変望ましいことですが、進行がんを対象とする場合は、非常に病状が進行して免疫力が極端に落ち込んでいる場合には、奏功しにくいと考えられます。術後、また、十分免疫力のある場合にテストすることが重要ではないでしょうか。


安全性の判定でも、従来の抗がん剤ではまず動物実験によって安全性をチェックしなければならないのですが、ペプチドワクチンの場合、ペプチドがヒトと動物では異なるので、動物実験が必要かどうかということにまず疑問があります。マウスを用いたとしてもヒトでの反応を外挿することができません。免疫系の仕組みが、総論は類似していても各論として異なっているからです。 では、いきなりヒトで実験しても大丈夫でしょうか。ペプチドそのものの安全性は、化学的には当然だと考えられるでしょう。なにしろ、もともと体内を流れているものですから。

このように見てみると、ペプチドワクチンががんに効果があるかどうか、安全であるかどうかの判定は、今までの抗がん剤の開発指針とは異なるものでなければならないということがよくおわかりになると思います。

本来であれば、このような開発指針を国が早く定め、研究者や製薬会社が安心して研究・開発にまい進できるようにしなければなりません。

このことを強く危惧した日本バイオセラピィ学会(理事長:山上裕機 和歌山県立医科大学教授/東京)が、がん治療用ペプチドワクチン用の開発ルール(ガイダンス)を作成しています。現在、同会はパブリックコメント(ご意見)を広く募集しています。当会でも、がんペプチドワクチン療法の早期実現の大きなカギになるこの活動を支持しています。ぜひ「ガイダンス案」をお読みいただき、日本バイオセラピィ学会の下記メールアドレスまでお送りください。
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